2010年09月20日

屋久島のはなし

saiです。
関東は、そろりそろりと秋の気配です。


私は先日、涼しくなり始めたころに遅めの夏休みをいただき、
日本が誇る世界自然遺産、屋久島へ行ってきました。


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ずっとあこがれていた土地の一つ。
漠然と、沢山の動植物が生きている楽園くらいに思っていました。


それはそれは、噂に聞く通りの美しい森と海。
だけど、島の住民、森を案内するガイドさん、あちこち旅をしている人、
色々な人の話に触れているうちに、屋久島という場所はただ単純に
美しい、だけではないということに気付かされました。



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そもそも屋久島とは、九州の少し南に浮かぶ、周囲約100kmの島。
一周するのに車で3時間半くらいです。
そこに、九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)を代表とし、高い山々がそびえています。

世界遺産になれた理由の一つは、その動植物の豊かさ。
宮之浦岳の山頂1900m付近では北海道の植生が見られ、少し下ると高山植物、
1000m付近は「屋久杉の森」、600m付近には照葉樹も混じった俗に言う
「もののけの森」、300m付近まで下ると「亜熱帯の森」と、一つの島の中で
南から北までの生命が活動しているのです。


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とはいっても、屋久島は生物にとって、実はそんなに恵まれた土地ではありません。
花崗岩が隆起してできた岩の塊のような島なのです。
屋久杉は詰んだ木目がキレイなことで知られていますが、それは肥沃な土壌がなく、
一年にわずかしか育つことができなかった結果です。
大量に降る雨で自分の体が腐らないよう、樹液を沢山含んでいます。
その濃度は本州で採れる杉の6倍と言われているそうです。
そのために独特の芳香をもちます。
痩せた土地でしっかり根を張って何千年と耐えている大株は、圧巻です。


この杉は、江戸時代にだいぶ伐採された歴史があります。
屋久島を統制していた島津藩は、痩せた土地で米がとれない代わりに
屋久杉を年貢として納めるよう島民に求め、沢山の木が持ち出されました。
今、「もののけの森」といわれている白谷雲水峡付近は、当時もっとも
伐採がすすんだ地域。今は、その傷を治している過程。
美しい(ように見える)苔の下には、当時の伐採跡が埋もれています。


この森は、本当に美しいのでしょうか。 私は正直、よくわからないです。

DSCN6926.JPG

人と自然が関わる時、人間が介入する加減を間違えると失敗します。
自然は自分たちで回復するだけの大きな力を持っているけれど、
人はそれを上回るスピードと技術を手に入れてしまったのです。



それに、世界遺産になったことで、屋久島にもたくさんの人が押し寄せ、
沢山の「環境保護」がなされて、今、問題が山積しているそうです。
・鹿が増えすぎた(駆除しているようです)
・ウミガメが増えすぎた(卵が密集しすぎて産卵場所がないそうです)
・猿や鹿が人を恐れなくなった(餌をやる人がいるので)
・森の一部では樹に元気が無くなった(人が根を踏むので)
・ゴミが増えた(単純にモラルのない人もたくさんいるので)
・人の排せつ物の処理に困った(入山者が増えたため)
・島の文化風習が廃れつつある(観光業に携わるようになって、民間信仰を忘れつつある)


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地元の人は私に教えてくれました。
 「もののけの森なんてないよ。」


人が自然と神様に感謝して暮らす、そこには人と自然の関わりがあります。
人が手を入れていない原生林は、屋久島にはありません。
この島に残されてきたのは、人と自然の良い関係。


動植物の楽園なんて、考えてみればそこに人間が住んでいるはずありません。
人も自然の一部。
屋久島は、それをしんみりと感じられる場所。
それに、世界遺産と言っても、どう守っていくのかは本当に難しい。
色々と考えるきっかけとなる、三泊四日でした。


行かれる方は、ぜひ携帯電波の届かない地域で「民宿」に泊まって下さいね。
【旅、お散歩の最新記事】
posted by エコ花 at 21:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 旅、お散歩
この記事へのコメント
はじめまして
15年ほど前にご縁があり
屋久島でバイトしながら
半年間テント生活してました
その頃と比べると島は
様変わりしたみたいですね。

当時バイト先の生まれも育ちも
屋久島の人に
世界遺産になっても開発が制限されるだけで一つも良いこと無いと言われました

島での生活は仕事が少なく大変だと
色々話を聞き
遊びに行くことと
そこで生活をすることの違いを
考えさせられました。

でも、人が沢山来るようになって
島がどんどん便利になってゆくのは
良いことばかりでは無いみたいですね。


Posted by ポチ at 2010年09月20日 23:46
ポチさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
屋久島と、深いご縁がおありなのですね。

環境保護をどうとらえるか、いろんな見方があって、
一つの決定的な方法というのは存在しないと思います。
難しい問題です。

屋久島には島の自然をどうするべきなのか、
探りながら全力で奔走している人が沢山いました。
世界的に見ても、『環境保護』活動の最前線ではないでしょうか。

美しい景色の裏に大きな問題が控えていることも、
屋久島を訪れる人には是非知ってほしいですね。
Posted by sai at 2010年09月21日 13:40
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